私は8歳のときに見たアクション映画がきっかけで”強さ”に憧れ、13歳のときに空手道場の門を叩き、その魅力にのめり込みました。 毎日が楽しく夢中で稽古に励み、20歳で国際総合空手日本大会優勝という大きな成果を得ることができました。

以降、80戦以上を積み重ね、新たな挑戦として40歳でキックボクシングへと転向します。

選手と指導者という立場を経験してきたなか、多くの子どもと触れ合う機会がありました。子どもは心も体も柔軟で可能性に満ち溢れています。一方メンタルという点において、成長過程の子どもにはとても繊細な時期があります

そのような時期は周りでサポートする大人（アスリート・アントラージュ）の存在はとても重要です。子どもの気持ちを尊重し、受け入れ、見守る姿勢が大切で、どのような関わり方をするか、言葉がけをするかで子どものパフォーマンスとその後のアスリート人生、未来は大きく変わります。

私自身、武道を通して我が子とも親子の対話ができ、思春期を経ても「心の繋がり」を感じることができ、家庭内での調和がとれたことは、父親として、指導者として、そして選手としての私を大きく成長させてくれました。

もちろんすべて順風満帆だったわけでなく、選手生活を送るなか挫折やスランプもあり、練習で取り組んできたことが本番でまったく発揮できないことは多々ありましたし、逆に驚くほど調子が良いときもありました。

「あれ？ぜんぜん疲れないぞ？？」

！？いつもならとっくに息が上がっているのに、まだまだ動ける！足裏に根が張ったように安定している！体幹がブレない！相手の動きが見える！技がぜんぶ決まる！そんな感覚の試合が何度かありました。

衝撃でした。自分でも驚くほどの集中力（ゾーン状態）でハイパフォーマンスを発揮できた瞬間です。しかし、これがなぜ起きたのか？まったく理解できず、ただ「調子が良かっただけ」と思っていました。

私はこれまで2度、選手生命に関わる大怪我をしました。
たった3年の間に両膝の前十字靭帯を断裂。

この時期は敗戦が続き、メンタルも落ち込み、競技に楽しみを見出せなくなり、ただただ辛い日々でした。練習に復帰しても不安しかなく、ジムに行くことすら苦痛で、身体もまったく仕上がらないため、試合どころではありませんでした。

「もう、ここらが潮時かな…。」

そんな時に出会ったのが、スポーツ心理学とメンタルコーチングです。
このとき、パフォーマンスを最大限に発揮するためには、フィジカル面だけでなく「”メンタル”と”環境”を整えること」がとても重要であることに気付かされました。

思い返してみれば結果が出ない時期は、楽しみよりも焦りや恐怖心でいっぱいの状態。 『”超”集中状態』が訪れたときは、”心の状態”と”環境”が自然に整い安定している状態で、試合にワクワクする気持ちで臨めていました。

以降、少しずつメンタルを整えたことで、練習に向かう姿勢や、身体の仕上がりにも変化があらわれ、復帰戦では自分が思っていた以上のパフォーマンスを発揮することができたのです。